ハーブを使わないでほしい、と言われた日。
Works / Photo Shoot
ハーブを使わないでほしい、
と言われた日。
ある方の撮影現場へ、3名様分のお料理をお届けしました。ハーブとスパイスは仕上げに使わない。パプリカと魚介は使わない。酸味は立てすぎない。いただいたご要望は、そういうものでした。ハーブと食用花が看板の料理人が、看板を置いて伺う仕事です。
| 時期 | 2026年 夏 |
|---|---|
| 場所 | 撮影現場(お名前・詳細は伏せています) |
| 人数 | 3名様 |
| スタイル | 常温・冷菜を中心に7品/温かいものはスープポットで |
| この日のこと | ハーブ・黒胡椒などのスパイスを仕上げに使わない/パプリカ・魚介を使わない/酸味を立てすぎない/召し上がる時刻が読めない |
Story
看板を下ろして、何が残るか
ハーブと食用花は、僕の料理の目印のようなものです。それを使わないでください、というご要望でした。黒胡椒も、パプリカも、魚介も使わない。酸味も立てない。
制限があるほうが、素材そのものの力を試されます。香りで整えられないなら、素材の甘みと旨みで組み立てるしかありません。
桃、さくらんぼ、いちじく、葡萄。この時期の果物を、料理の側に引き込みました。トマトにさくらんぼを合わせ、生ハムに桃を合わせ、軍鶏にいちじくを、和牛に葡萄を。ハーブの代わりに、果実の香りと甘みで輪郭をつくるという考え方です。
いつ召し上がるか分からない
撮影の現場は、食事の時間が読めません。お届けしてから、いつ手をつけられるかも分からない。だから、時間が経っても状態が変わらないものだけで7品を組みました。常温か冷製で成立して、置いておいても水が出ない、色が抜けない、香りが飛ばない料理です。
トマトとさくらんぼは当日の朝に和える。桃は当日に切る。ブッラティーナは崩れやすいので最後に添える。軍鶏は前日に低温で火を入れて、当日に表面だけ焼き直す。「いつ食べても同じ」を先につくっておくという設計です。
温かいものが一品もないのは寂しいので、夏野菜と豆腐のミネストローネ・ビアンコをスープポットに入れてお持ちしました。
白いごはんを、曲げわっぱで
白米を炊いてほしい、というご希望がありました。イタリア料理と白いごはんは合わないと言う人もいますが、そうは思いません。
炊いた米を曲げわっぱに移して持参し、料理とは別に、取り分けやすい場所に置きました。しゃもじと小皿も一緒に。ご要望をそのまま形にするのが、いちばん喜ばれます。
Photo








「これは使わないでほしい」を、先に教えてください。
アレルギーでも、宗教上の理由でも、ただ苦手というだけでも構いません。制限があるほうが、かえって献立は決まります。撮影現場にも、ご自宅にもお届けしています。
